三門久美子×吉村光弘 ダイアローグ3
●産後ドゥーラの仕事について~行政の支援~
吉村:ご自身のお二人のお子さまのご出産経験と育児経験から、産後の大変さや産後ケアの重要性を痛感されたとのことで、その経験から産後女性を支援している「ドゥーラ」の活動に興味を持たれたと思うのですが、産後ドゥーラについて具体的に、詳しく教えていただけますか?
三門:「産後ドゥーラ」の主な3つのサポート内容としては、まず「お母さん」のサポート。それから日常の「家事」のサポート。それから「育児」のサポートの3つがあります。
お母さんのサポートというのは、出産後の女性に寄り添い、お気持ちやお悩みをお聞きしています。時には、アロマを使った簡単なトリートメントをしたりしています。
やっぱり産後は肩なども凝りやすいですよね。簡単なハンドマッサージのようなトリートメントをしながらですと、いろいろと話もしやすかったりしますので、そういった精神的なサポートも行っています。
あとは日常の家事サポートですね。これをしないと家庭が回らないというような、料理、洗濯、掃除といったような、いわゆる家事ですね。
そして育児のサポートは、赤ちゃんのお世話だけではなくて、そのご姉妹・ご兄弟のお世話も入ります。
吉村:なるほど。その3つが産後ドゥーラのベースにあるということですね。ところで、僕が「ドゥーラ」の存在を最初に知ったのは、たぶん今(2017年4月)から4、5年前ぐらい前かなと思います。
三門:初期の頃ですね。日本でドゥーラ協会ができたのが、5年ぐらい前ですので。
吉村:愛知県に「吉村医院」という自然分娩で有名な産科医があって、そこにきくちさかえさん主催の「出産育児環境研究会」の研修で行ったことがあったのですね。
三門:薪割りなどをするところですよね。
吉村:そうです。で、そのときに助産師さんなども集まっていたのですが、「アメリカではドゥーラという職業があって、産後だけではなくて、産前から妊婦さんにも寄り添って、お産にも立ち会ったりして、助産師とは違う形で産前産後の女性を支援している方たちがいますよ」というお話を聞いて、「へえ~!そういうのがあるんだ」と思っていたのですが、今は日本でもドゥーラという存在が少しずつ広まりつつありますよね。
三門:そうですね。マドレボニータやドゥーラ協会以外でも、産後ケアをする他の団体も出来たりしているようですね。それだけ産後ケアの重要性が社会的にも認知されて、多くの方に必要とされているのでしょうね。
吉村:近年は、行政や自治体がドゥーラを派遣したり、産後ケアの業務を委託したりしているようですね。
三門:はい。しています。都内でも増えてきていますね。東京では、港区も今年度(2017年)から始まったようです。
平成29年4月現在では、都内は中野区、世田谷区、杉並区、品川区、港区が、ドゥーラの派遣事業を行っています。他各地にてドゥーラ養成事業や行政からの支援も広まりつつあります。
もちろん、利用者の負担額はあるのですが、通常よりも安い価格で利用できて、あとは行政や自治体が負担してくれるというシステムになっています。
何時間までとかの制約があったり、時間を超えたら個人契約になるとか、産前に会えないとか、誰が来るかわからないといったような「縛り」はあるのですが、いろいろと進歩しているというか、前進しているのかなと思います。
吉村:行政や自治体の支援や協力体制があると、やっぱり利用しやすいですよね。少しずつ、ドゥーラの存在が一般にも広がっていくといいですね。都内だけではなくて、全国的にもドゥーラの認定資格者が増えてきていると思うので、もっともっと広まっていけばいいですよね。
三門:そうですね。情報を知らないことには、利用しようがないですからね。