三門久美子×吉村光弘 ダイアローグ2
●大変だった二人目の産後~産後ケア事情について~
三門:自分の二人目の産後が、予想外に大変だったんです。もちろん、一人目の時も大変だったのですけど、それでも赤ちゃん一人を見ていればいいですし、赤ちゃんが寝ている時は、自分も少しは休めますよね。その時は専業主婦だったので、からだが辛くても、「こんなもんなのかな…」という感じで、そこは諦めながら…という感じでした。
でもその後、二人目が出来て、今までのように子ども一人だけを見ていればいいというわけにはいかなくなりました。
二人目の産後は実家に帰ったのですが、上の子はまだ三歳になったばかりで、日中は保育園に行っていました。それで、産後のからだの立て直しもしっかり出来ずに、二週間で実家から自宅に戻ってきました。
吉村:上のお子様の保育園の送り迎えがあるから、産後二週間で実家を引き上げてきたと。
三門:はい。その時、夫はサラリーマンで、通勤に片道一時間半ほどかかり、産休も育休もない状況で、保育園に子どもをお迎えに行くことは出来ませんでした。だからどうしても、子どものお迎えは、私が行かなければなりません。
同じマンションの友達は、「何か困ったことがあったら、いつでも言ってね」と言ってくれてはいたのですけど、やっぱりお願いしたりすることが、なんか悪いなと思うし、それなら自分でやったほうが早いなと思って、結局人に頼ることはしませんでした…。保育園も近い場所にあるし、まあいいかな…と思っていたのですが、とにかく寝かしつけまでの時間がバタバタとしていて、そういった大変さが常にありました。
でも自分の場合は、まだ第一子の時も第二子の時も母が元気で、産後もしばらくは実家に帰っていたので、家事もやってもらって、ご飯も作ってもらって掃除もやってもらって、その点は気兼ねなくしていられたのですけど、そういった家族の協力すら全くない人は、一体どうしているのだろう、ただでさえ産後は大変なのに…とちょっと想像がつかなくて。
退院後に身内に頼ることが出来なくて、それでも日常の家事をやらなくてはいけない人は、どうするのだろうという思いがありました。
実家との折り合いが悪くて、何とか一人で頑張った友だちもいますし、そういう人は多いですよね。あとは身内のサポートがなくても「何とかなるだろう…」という風に過信していたりすることもありますよね。
吉村:そうですね。なかなか妊娠中には産後のことを詳しくイメージ出来ないし、そこまで頭がまわらないですよね。
三門:はい。でも病院でみてくれるのは、妊娠・出産までじゃないですか。そのあとしばらく空白があって、産後の一ヶ月検診で赤ちゃんと自分のからだをみてもらって、それが終わったら、保健所から「産後に不調はないですか?」みたいなアンケートぐらいは来たりはしますけど…。
行政の産後のケアもサラッとしているじゃないですか。その後は個人の運にかかっているというか…。
吉村:そうですね。
三門:たまたまその人が、マドレボニータの産後ケアを知ることが出来たり、吉村さんみたいな産後の骨盤ケアや産後の整体を見つけることが出来たりすればいいでしょうけど、そもそもそういった情報を知らない人もいますし、知っていても経費がかかることでもあるので、そこで躊躇したりだとかもありますよね。
あとは情報に関わるまでのプロセスもいろいろとあるので、もっと産後ケアの情報が平等に行き渡って、みんなが産後ケアを受けることが出来たらいいなというふうに思います。