小林睦子×吉村光弘 ダイアローグ14
●悩んだお母さんのもとに生まれきたお子さんは強い
吉村:じゃあ、これから生まれてくる赤ちゃんとか、今年生まれた子どもたちに対するメッセージが何かあったら、聞かせていただきたいのですが…。
まあ、今年大きな地震があったりして、すごく大きな時代の変わり目でもあると思うのですけど、そういう中で妊娠・出産されるお母さんの不安も当然あったりもして、でもこういう大変な時代だからこそ、子どもたちの夢や希望を育んでいくような社会を大人がつくっていかなくてはならないと思うんですね…。
小林:ここでもいたんですね。マタニティ・ヨガに通っていた方が二人いたんです、福島の方が。一人の方は相馬で。親御さんが原発の被害にあわれて、親御さんが東京に出てこられて…。
郡山出身の方は、最後の最後まで悩まれて、結局福島に帰られてご出産されて…。それもすごい悩まれていて、そういう姿もみていて…。悲しかったです、すごく。
地震だけで済めばよかったのに、そのあとの人的被害みたいなところの影響が…。なんでここまであなたが苦労しなきゃいけないの?っていうぐらいに悩まれていて。力になってあげられたらいいのに、って思いながらも…。
「郡山で産みます!」っていって帰られた方を、止めたかったんですね。でも止められなかった自分もいて…。
で、「出産しました!」っていうメールをいただいたとき、すごい嬉しかったんです。そうやってたくましく生きているお母さんを、子どもも選んでいると思うんですね。
そうやって試行錯誤しているお母さんを、子どもは選んできているような気がするので、そういうお母さんでよかったね、って言ってあげたいですけどね。
ここに来る妊婦さんもそうですけど、みなさんいい顔していると思います(笑)。ママがお子さんに対して。
なので、そこは心配してないのですけど、ここに来れない人というか、ほんとは来たいんだけど躊躇している人とか、踏み出せない人とか、ほんとはそういう人がSOSを送っていたりするのを、もうちょっとね…。なにかしてあげたいなと思いますけど…。
でも、そうやって悩んだお母さんのもとに生まれきたお子さんは強いと思いますね…。子どもは尊い命なので…。
池川明先生の本で、流産しちゃって、おなかの赤ちゃんが、「僕が頑張れなかったから、生まれてくるのをやめたんだよ、でもまたぜったいママを選ぶから」っていうのが書いてあって。泣けるんですよ~。読みました?
吉村:はい。読みました。
小林:もし本当にそういう事があるのであれば、生まれてきた生命を応援したいなあっていう気持ちになりますよね。
頑張って欲しいなって思いますよね。日本語って「ガンバレガンバレ!」って何でも言っちゃうのはよくないなと思いますけども。
吉村:(笑)
小林:頑張れじゃなくて、もっといい適切な言葉があれば…。「自分らしく」っていうのかな。そういうふうに生きてくれたらいいかなと思います。
お母さんを困らせてもいいと思うし。でも困ったお母さんはお母さんで、学びがあると思うので…。そんな気がします。生きたいように生きればいいだろうと(笑)。私も生きたいように生きているので。
お母さん困らせればいいと思いますね。そこでお母さんも大きく育つし、お子さんもそこで成長するし…と思います。
そこで投げ出しちゃうお母さんだったら…そういうお母さんいないと思うんだけどね。きっと向きあってくれると思うのでね…。
自分がそうだったので。すごい大変だったんです、長女が。疳の虫とか癇癪とか夜泣きとか…。
もうほんとうに…。「ど~うしよう…」っていうぐらい大変だったので。でもそこで目を逸らさないことが親も必要だと思いますね。そういうお母さんを子どもは選んできていると思うんですよね。
だから子どもに「選んで正解だったね♪」って、肩をポンと後押ししてあげられるように出来たらいいなと思います!!
2011.7.12 at SVAHA(インタビュアー:吉村光弘)